GW前半

 GWである。まずは3連休である。晴天である。
 初日の昨日は、とりあえずカラオケに行った。好天を謳っておきながらカラオケか、という話だが、天候とカラオケの機運は関係ないのだから仕方ない。唄ったのは、「宙船」(TOKIO)、「やさしさに包まれたなら」(松任谷由美)、「草原のマルコ」(大杉久美子)、「瀬戸の花嫁」(小柳ルミ子)、「薔薇は美しく散る」(鈴木宏子)、「Ob-La-Di, Ob-La-Da」(ビートルズ)、「民衆の歌」(ミュージカル「レ・ミゼラブル」より)、「誰がために」(成田賢)、「流動体について」(小沢健二)、「魔法のマコちゃん」(堀江美都子)、「君は薔薇より美しい」(布施明)という11曲。けっこう唄ったな。「宙船」は小室哲哉に続く時勢シリーズで、もちろん山口メンバーの事件を受けての歌唱。歌詞がやけに突き刺さった。「母を訪ねて三千里」「ベルサイユの薔薇」「魔法のマコちゃん」は、前回も唄った「サイボーグ009」と同じで、それぞれアニメにはなんの感慨もないのだが、借りたCDでテーマソングを聴き、気に入ったので唄った。特に「魔法のマコちゃん」は、歌の朗々とした雰囲気と最期のセリフのギャップがおもしろく、友達グループでのカラオケで唄ったらば相当にウケるのではないか、今度やってみよう、と思った。あ、間違えた。来世やってみよう。「Ob-La-Di, Ob-La-Da」では、今回とうとうカラオケにバトンを持ち込んだので、左手でマイクを持って唄いながら、右手でバトンを回すという芸当に挑戦してみた。難しかったが愉しかった。これも来世で友達相手に披露したいと思う。
 カラオケのあとは図書館といういつものコースを経て、それから公園へ。以前にいちどだけ行ったことのある公園で、瀬戸内海らしさがよく出ていて愉しい場所。GWでいい天気なのだから、やっぱり公園に行かないわけにはいかない。堪能する。ピイガが、ファルマンにシロツメクサでブレスレットを作ってもらい、喜んでいた。ピイガはそういうものを与えると、「うふ」という感じの表情になり、写真撮影を求めてくるので、女の子だ、と思う。ファルマンも、「初めてシロツメクサで娘が喜んでくれた……」と感慨深げだった。その間、ポルガはちょっと大きめの岩にひたすらよじ登っていた。ピイガが激しく女の子らしいせいもあるのか、このところのポルガの男子っぽさには磨きが掛かっているような気がする。そのあと100均でこまごまと買い物をし、スーパーに寄って帰った。
 帰宅がもう4時になんなんとする時刻だったので、これは昼寝をする時間がないなあと思ったが、それでもやっぱり辛抱たまらなくなったので、30分ほど寝た。短時間でも合間合間で寝ることができる。芸能人になればよかったかもしれない。
 芸能人なので、晩ごはんは焼き肉にする。GWということで、スーパーもそういうメニュー提案が目立った。目立ったのでまんまとカルビ肉を手に取ったのだった。そして家族でホットプレートを囲み、食べた。焼いた牛肉にタレを付けたものは、もちろんおいしい。でも椎茸や玉ねぎも、それに勝るとも劣らないほどにおいしい。子どもの頃、椎茸ってあんまり食べなかったな。おいしいと全く思わなかった。味がせず、ぐにゅりと嫌な感触がするものだと捉えていた。どういうことだろう。舌のどこかが途中で開いたのだろうか。脳細胞がひたすら死滅してゆく人生において、舌の細胞は鋭敏化してゆくのだろうか。なぜだろう。
 2日目の今日は、事前に子どもたちに、「GWにどこか行きたい場所はあるか」ということを訊ねたら、「おはなばたけ!」という答えが返ってきて、まあウチの子は行きたい場所を訊ねたらお花畑と答えるのか、とちょっと感動したので、それならばとネットで検索をし、総社でれんげ祭りというのが開かれるという情報を発見したので、そこへ行くことにした。総社は岡山の左上、倉敷の真上あたりの市で、そう離れてもいないのだが、これまでいちども改めて訪れたことがなかった。そういう意味でもいい機会だった。移動所要時間が読めなかったことと、なんとなく張り切ったこともあり、祭りが始まる前の9時台に会場に着いてしまう。ステージはまだ無人で、テントやブースなどでは関係者が集合し、ミーティングのようなことをしていた。仕方ないので周辺をブラブラする。備中国分寺という、五重塔が有名な寺院の周辺が会場なので、その五重塔を眺めたりした。肝心の花はどうしたのかと言えば、れんげ畑なんかはどこらへんなのだろうな、とさまよっていたら、すれ違った地元民っぽい人たちが、「今年はれんげがぜんぜん咲いてなくて残念だけど」と会話をしているのが聴こえてしまい、マジか、となった。お花畑という希望において、れんげというだけでそもそも若干の地味さがあったというのに、しかもそれが咲いていないと来たもんだ。残念としか言いようがない。それでも祭りそのものは、段ボール迷路で遊んだり、綿菓子やかき氷を食べたりと、それなりに堪能できた。さらにはステージではバトントワリングの演目があり、もちろんそれは下調べ済みで、研究のためにぜひ観たいと思っていたので、観られてよかった。中学生から高校生くらいの少女たちによるバトンの演技は、体が軽そう、という一言に尽きた。バトンを指先で回すこと自体は、僕も彼女たちにそれほど引けを取らないのではないかと思うが、飛び跳ねたり回ったりという、その動きがどうしたってできない、昨日のカラオケで「Ob-La-Di, Ob-La-Da」を唄いながらのそれを、ファルマンが動画で撮ってくれたのだが、それのズベッとした感じと言ったらなかったわけで、あの躍動感が僕には決定的に欠けているのだな、と強い陽射しを浴びながら思った。しかしそれは一体、今後どうすれば身に付くというのか。そして身に付ける必要があるというのか。そんな課題も見つかりつつ、祭り会場を後にする。早く来て、早く帰った一家だった。
 そのあとはアリオ倉敷へ。このところ大規模なリニューアルをしたらしく、けっこう変わっていた。そしてここもGWということで、いろいろとイベントをしていた。アリオと三井アウトレットの間の広場で、一方ではヒッピーやフェスっぽい文化のイベント(テントなんか建てていた)、もう一方ではジャンプのアニメの声優によるトークショーなどが行なわれていて、なかなかに混沌としていた。まあ混沌としているということは、活気があるということに違いあるまい。どちらの文化にも縁のない我が家は、ファルマンの新しい眼鏡を作ったり、このたびのリニューアルで新たにオープンした手芸屋で買い物をしたりして、粛々と用件を済ませた。あ、あともちろん日本最西端のコージーコーナーのシュークリームも買う。
 そして帰った。今日は昨日よりも早い、2時ごろの帰宅だったので、しっかりと昼寝する。陽射しをたくさん浴びたあとのしっかりとした昼寝の心地よさ。起きたら、僕以外の3人は平然と起きて暮していたので、いつものことながら、なんかびっくりした。体力オバケか、と思う。
 晩ごはんは、焼き肉をしたあとの常として、肉や野菜が半端に余ったものがあったので、それを細かく刻み、そばめしにした。さらにそれを玉子焼きで包み、オムそばめし。祭りの会場でビールが飲めない(飲みたいなー、と思わなくもないのだが、ああいうところのビールってそんなにキンキンに冷えていないので、飲んだところでおいしさはそれほど得られず、だるさだけが残るのは解っているのだが、それでも欲求はかき立てられる)悔しさを一気に晴らす、ソース味が絶妙なトスを上げての、強烈なスマッシュのようなビールだった。とてもおいしかった。
 このように2日間、それなりに活動的だったので、明日はのんびりと過す予定。ハンドメイドをしたり、人生ゲームをしたりするつもり。