とてつもなきのんびり

 9時過ぎまで寝る。休日の遅寝って、「人生の喜び」で野球チームを編成するとしたら、どの時代でも必ずスタメンに名を連ねると思う。打順は5番か6番あたり。派手さはないけれど、チームの屋台骨であり、逆にそいつ自身がチームそのものである、と言ってもいいほどの価値がある。また4月なので本当にいい。まだ寒いときがあるので、しっかり目の羽毛布団が出ていて、それを気温に合わせて、体をしっかり覆ったり、脚だけ出したり、腹にしか掛けなかったりして、快適さが自由自在。ペナントレースが始まったばかりの休日の遅寝の調子の良さ(ただし夏場に差し掛かると一気に崩れる)。
 先週のタブレット狂騒から一転、今週はなんの外出予定もない。ピイガが幼稚園の1週目を終えたばかりということもあり、静かに過すことにした。
 午前中に、僕と子どもたちだけで、自転車でお出掛け。近所のドラッグストアや、公民館などへ行く。ドラッグストアではボディーソープを買った。自分用の、男性用のボディーソープ。これまでは乾燥の季節ということで、保湿系のものをみんなで使っていたのだけど、気温が上がってきて、そういうわけにもいかなくなってきた。そして僕はひとり、男の脂を落とすぜ的なものを使うということになると、自然と娘たちと風呂を共にするのが億劫になってきて、こうして父親というのはひとり女家族から分断されていくのだな、と思った。
 昼ごはんは今年初の冷やし中華。きゅうりがばら売りされていれば、ファルマンらのために1本だけ買って載せてやったのだけど、3本くらい入った袋でしか売ってなく、それだとサラダの習慣のないわが家では絶対に腐らせ、野菜室の中に濁った液体が垂れるので、全員しゃきしゃき感のない冷やし中華になった。それ以外の具も、冷やし中華というメニューがその場での発案だったので、肉方面は刻んだハムだったりして、ちょっとぼんやりとした仕上がりになった。今度はきちんと、鶏ささみをほぐしたものとか、あるいは煮豚とか、そういうのでおいしく作りたい。
 午後はハンドメイド。ピイガの幼稚園の真っ白の座布団カバーを、デコる。もちろん入園前にやって、持って行っていたのだけど、家にあったちょっと古いアイロン接着のフェルト飾りを着けたら、もうだいぶ粘着が弱まっていたらしく、あえなく外れたとのことで、改めて作業をしたのだった。かわいらしく仕上がり、満足。ちなみにヒットくんの影も形もない。ピイガはヒットくんに対してそれほどの執着はない。愛着はそれなりにあるんだろうが、姉のごとき執着、愛執みたいなものはない。この段落で、接着、粘着、執着、愛着という熟語を使った。だからなんだという話だけど。
 おやつは焼き芋。細身のさつまいもをオーブントースターに入れ、低温でじっくりと焼く。結局これが、既製のプリンやケーキなどより、いちばん子どもの反応がいい気がする。親としても与えていて安心感がある。
 そのあともハンドメイド。今度も座布団カバーなのだが、こちらは自宅用。春休みの島根帰省の際、実家の大掃除で出た不要品のひとつに座布団があり、わが家にはそれがなくて微妙に困っていたので(でもわざわざ買うのもなんだし)、もらって帰ったのだった。そもそもはおばあさんが購ったものらしく、けっこういい物なんだと思う。ちゃんと厚みがある座布団だ。そのカバーを作った。作ったと言っても、1辺はワなので、もう2辺をガーと縫い、ひっくり返して、袋状になったところへ座布団を入れ、口の部分は本当になんの処理もせず、長めに取った布を内側に折り込むだけという、とても手抜き仕様。四角くて平たいもののカバーって、逆にそれよりも簡単に作れる形状のものなんてないだろ、というくらいに単純で簡単。「nw」に更新するほどのものでもない。
 晩ごはんは、チルドのピザを店で見かけ、子どもたちが食べたいと言うので買い、ピザを中心にしたメニュー……、としばらく考えた結果、ぜんぜんいい案が浮かばず、いっそピザのことは無視してしまおうということで、あとは炊き込みご飯と豚汁を作った。それとピザ。両チームが呼応することはまるでなかったけど、邪魔もせず、まあ別にいいんじゃない、という感じの口の中になった。
 そんな感じの休日だった。